棚卸の意味を理解する
毎月月末、恒例の作業と言えば棚卸し。毎回在庫をひたすら数えて記録していると思います。正直面倒な作業です。こんな面倒な作業をなぜ毎月やる必要があるのでしょか。また、効率良い作業をするためにはどうすればよいでしょうか。
今日はこのことについて書いていきます。
今回の記事を読めば、棚卸の意味が理解でき、部下に教えられると思います。
また、作業を効率化できると思います。
棚卸し作業はなぜ必要?
1.在庫管理のため
毎日発注、納品、仕込み、スタンバイなどしていると思いますが、一定期間でそれらを数え(量り)、金額化することで在庫金額を把握します。
定期的に在庫を金額化すれば、多い、少ないが明確になり、日々の在庫コントロールがしやすくやりますよね。
2.正確な原価を知るため
正確な原価計算をするには在庫金額確定しなければ計算できません。なぜなら、実際原価は
期首棚卸高+期中仕入高−期末棚卸高=実際原価
この計算式により求められます。
例えば
9月1ヶ月間の原価を正確に算出するには、
8月31日に棚卸した時の棚卸高(期首棚卸高)+9月1日〜31日までの全業者の仕入高(期中仕入れ高)−9月30日に棚卸しした棚卸高(期末棚卸高)
このような計算になります。
なぜこのような計算か
上の例でいくと、8月31日の閉店前にお店にある在庫は次の日9月1日以降に使うものです。すなわち、8月の売上には関係なく、9月の売上のための在庫です。だから、9月の仕入れに加えないといけません。逆に9月30日の閉店前にお店にある在庫は9月の売上には関係なく、10月の売上のための在庫です。ですから、この棚卸高は9月の仕入高から引かなくてはなりません。
こうしないと9月1ヶ月間の売上のために使用した原価が正確には計算出来ず、加えて正しい損益書が出来ません。
3.損益を確定させる
損益を確定するには各経費を確定させなければなりませんよね。原価を正確に計算し、確定させるには棚卸が必要なのです。損益が確定すればその期間の営業が適正に行われていたか振り返りができます。
棚卸し作業を効率化する
面倒な棚卸し作業ですが、やらなければならない意味はお分かりになったでしょうか。
避けられない作業であれば、速く、楽にやりたいものです。では、棚卸し作業を効率的に進めるにはどうすればよいか。紹介していきます。
全ては準備で決まる
1.定位置管理、整理整頓をする
これは日々当たり前のこととしてやるべきことですが、棚卸し前は特にやってください。冷蔵庫や食品庫がごちゃごちゃしていると数えにくいですし、片づけながらとか、探しながら棚卸ししていくとジワジワ時間が経過していきます。
2.棚卸し表を準備する
数える食材が全て記載された棚卸し表を作ります。タブレットやハンディターミナルなどデバイスに入力でもかまいません。
3.棚卸ししやすい帳票を作る
棚卸し表は在庫を記入しやすいように作ります。これがポイントです。ロケーションごと、冷蔵庫ごと、調理ラインのポジションごとに帳票を作ります。
例えば、
食品庫、ウォークイン冷蔵庫、リーチンイン冷蔵庫、リーチン冷蔵庫、ストーブコールドテーブル、、、、など。
そして、冷蔵庫内の食材配置の順番と帳票に記載する食材の順番を一致させます。冷蔵庫の扉を開け、帳票を上から見ていけば順番に記載できるようにしておきます。食材を数えて数を記帳するとき帳票のどこに記入するか迷うだけで時間のロスです。
4.容器を軽量しておく
ラインにスタンバイしてある食材を軽量すると思います。容器ごと量りに乗せ、総量から容器の重量を引きます。そして、食材の重量を記入します。あらかじめ、容器の重量を一覧にしておけば、量りながら暗算で記入していけます。
5.二人で棚卸作業をする
Aさん・・・カウント係り
Bさん・・・記帳係り
具体例は
Aさん 「もやし、単位、袋です」
Bさん 「3袋です」
Aさん 「キャベツ 単位kg、kgです」
Bさん 「1.5kgです」
こんな感じで進めていきます。
このように二人で分担して作業します。慣れている人は一人で作業した方が速いと思うでしょうが、二人で行うことでミスを防ぎます。特に単位間違いを防げます。数え間違え、記入ミス、単位ミスをして再度現物を見直し、やり直せばその時間がロスになります。正確に行うことが結果的に早く終わります。
6.分担する
棚卸表や在庫の定位置管理など準備が整えば、あとは正確に数え、記入する単純な作業です。
ですから、パート、アルバイトさんへ教えてください。ロケーション毎に分業すれば作業は早く終了します。誰でもできる状態を作っておくことが前提となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。棚卸し作業の意味を理解していただけたでしょうか。また、早く終わらせる方法がお分かりになったでしょうか。
私が飲食チェーンで働き始めた頃、毎月月末意味も分からず棚卸しをして、帰宅がかなり遅くなり本当に憂鬱でした。「あぁ、また月末が来る」と気分が落ちたものです。しかし、棚卸しの意味を教わり必要不可欠な作業と理解してからはそんな気分はなくなりました。そんな重要な作業なら正確に、しかも早く終わらせいつも通り帰ろうと前向きに取り組めるようになったのを覚えています。
店長やエリアマネージャーの皆さんは部下にしっかりと棚卸し作業について教えてあげてください。
今回の記事が飲食店で働く皆さんにお役に立てれば幸いです。