今日はストアコンパリゾンについてお話しします。
コロナの影響で外食業を取り巻く環境は大きく変わりました。
コロナ禍が落ち着いても全く以前と同じ状況にはならない気がします。
リモートワークが増え、対面の商談、宴会、会食は元には戻らないかもしれません。
すでに様々な企業が政策を変えています。今後も時流に合わせて業態、店舗、
メニュー、オペレーションを変えていかなければならないと思います。
そこで特に必要な技術がストアコンパリゾンです。
ストアコンパリゾンは一生使える技術だと私は思っています。
他社から学び、我社を良くするという技術は、
外食や小売業だけの技術でもありませんよね。
これを読めば、ストアコンパリゾンを理解し実行できると思います。
ストアコンパリゾンとは
簡単に言うと「競合店調査」です。
同業種、あるいは異業種の店舗を観察し、その動向や特徴を調べることです。
そして、経営戦略上の狙いを分析し、我社はどのような経営をしていくかを
判断する技術です。
「経営戦略上の・・・」なんて言うと難しく聞こえますが、他社、他店を調査し、
学んで、自分の会社、店を良くすることです。
ストアコンパリゾンの目的
ストアコンパリゾンの目的は他店を見て学び、自店に生かすかすことです。
自店に生かすというのがポイントです。観察した結果を持ち帰り自店に
生かして良くしなければならないです。
重要なのは「良いところを見る」ということ。
同業他社を見る場合、特に陥りがちなのは批評家になってしまうことです。
あそこが悪い、ここが汚い、壊れている、好みの味ではない・・・など。
他店の悪い所を反面教師として「自分の店ではやらないよう」というのも
ありだとは思いますが、それでは学びのレベルは低いままです。
わざわざ見に行くからには自店にはない、他店の優れている点をより多く見つける
癖をつけましょう。
そして、それを持ち帰り自店を良くする方がお店や会社は進化します。
調査の仕方
実際に調査する時は、
同業、異業種問わず繁忙店を選ぶ。
同じ店を定期的に見に行く。
(繁忙期前後、季節メニューの切り替え時、ランチタイム、ディナータイム)
・持っていくと良いもの
スマホ(写真、ストップウォッチ、メジャーとして使える)
赤外線温度計(提供温度を測る)
塩度計(必要に応じて)
糖度計(必要に応じて)
デジタルはかり(測る勇気があれば)
・具体的に店の現象を把握する
その為に5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)と数字を使って
メモを取る。第3者に伝えた時、店の状態のレベルがイメージできるように、
具体的にしておく事がポイントです。
調査に行っても何となく「いい店だったなあ」では自店に帰ってから行動に移せません。
それではただ食事に行っただけになってしまいます。
観察のポイント
調査内容を明確にしておく
他社の繁忙店から何を学びたいのか。何を見て、自店で解決したいことは何かを
明確にしておくと実際に調査しやすいです。
・回転率を上げるためにピークタイムの店長の動きを見たい
・メニューブックの内容、レイアウト、デザインを見たい
・フロア従業員の連携を見たい
・料理を見たい(味、提供時間、コンディメントなど)
・外観、内装を見たい
など。
慣れていけば、入店から退店までの商品、オペレーション、サービスの質、
クレンリネス状態などを全部見られるようになると思います。
しかし、慣れるまでは見たいポイントを絞ってください。
店を出た後、「肝心なところを見るの忘れたぁ」ということが無くなると思います。
ストアコンパリゾン事例の紹介
過去に研修会に参加して書いたストアコンパリゾン報告書を紹介してみます。
これを読めば、具体的に調査するということはどういうことか
よりイメージがつきやすいと思います。
ストアコンパリゾン報告書例
○○○○店に訪店。
訪店時間は19:50。駐車場○○台中、○○台駐車。80%の駐車状況。
ウェイティングはすでに3組。私達は4組目。
席に通されるまで15分かかり、20:05分着席。
着席時は7割の満席率、テーブル数27、100名程度のキャパシティか。
バッシングが追いついていない状況。客数予測オーバーしているかもしれない。
フロア従業員は店長を含め4名。店長が案内兼、フロアコントロール
をしている。もう1名が客席側に配置され、残り2名は料理提供、
ドリンクデザート提供中心に動く。店長が全体のバランスを取る動き。
作業が滞る前にフォローに動いている。
注文はこちらが呼ぶ前に従業員から「お決まりですか?」と聞かれ
スムーズに注文。忙しい店ながらお客様をよく見ている。
料理は全部で9品、ドリンク3杯注文。
ドリンクが提供されるまで3分、サラダの提供は5分後、パスタの提供12分後、
オールオーダーまで12分。料理の順番も基本通りで忙しい状況でも
提供時間は早かった。
中間サービスもこちらが呼ぶ前にしてくれる。客席からパントリーに入るまで
手ぶらで帰らない教育がされている様子。必ずお皿を下げてパントリーに戻っている。
従業員の動きはスピード感あり、お客様との接点では笑顔が出ている。
中間サービス実施率の高さが、バッシング時間を短縮し、客席回転率を
上げる要因となっている・・・・。
以上ほんの一例です。上記のようになるべく数字で表現すれば混雑状況、
営業中のスピード感がイメージしやすいと思います。そうすれば自店の現状と
対比もしやすく、改善策が立てやすいです。
料理を中心に見に行くのなら、料理を具体的に分析します。
提供時の温度、一つのメニューに何品目食材が使われているか
塩度、糖度、提供時間、食器、和膳の大きさ、食器メーカーなど。
なぜ売れているのかをより多くの視点から分析します。
まとめ
ストアコンパリゾンはマネージャーから経営陣まで
身についておかなければならない技術だと思います。
店長時代から定期的に行いましょう。そして、第3者に伝えやすいように
具体的に記録を取る癖をつけてください。繰り返していけば自然とできてくると思います。
店長、エリアマネージャー、事業部長、商品部、店舗開発部、役員など立場や部署によって
見るポイントが変わると思います。それぞれ研究したい点、解決したい課題を見て
学んでいけば良いと思います。
批評家にならず、良いところを見て自店や我社の改善につなげましょう。
今回の記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。