今回のその弐では5つあるポイントの残り3つを説明していきます。
全てを理解すればデシャップを担当する人はどういう仕事を
すればよいか理解でき、また他のメンバーにも教えられると思います。
規定時間内の料理提供
満腹で外食でかける人はあまりいません。お客様はお腹をすかせてご来店します。
ですから、料理提供は早いに越したことはありません。ただ、早くしようと思っても商品を作るための調理時間は短縮できません。
例えば、忙しいからといってパスタの茹で時間を短縮することはできません。
自分の働く店舗や会社の決まりで提供時間の目安や基準があると思います。
(ランチタイムは10分以内、ディナータイムは15分以内など)
それを超えないようにすることです。
どんなに綺麗で美味しい商品でも注文後30分待たされたら、満足度は半減します。
また、提供時間が遅れれば遅れるほどお客様の滞在時間も長くなり、回転率は落ちます。
結果、売上にも影響を及ぼします。
提供時間が早くなればキッチン内でテンポが生まれ、お店も回り出し、フロアの従業員が
料理の請求におびえることなく働くことができます。そして、店内の雰囲気も非常に良くなります。
なので、提供時間にはこだわってほしいです。
確実な料理提供
キッチンには伝票が飛んできます。一枚の伝票が一組のお客様。その一枚の伝票に記載された商品を全て出しきることがキッチン従業員の使命です。ここで重要なのは確実に手渡すこと。
つまり、フロアの従業員と連携して相互に確認し合い、間違いをなくすことです。
デシャップが順番通り漏れなく商品を出したとしても、間違えた場所に
運ばれてしまえば作り直しです。また、キッチンメンバーが作ったつもりでも
出来ていなかったり、数を間違えて、足りない。なんていうこともあります。
こういうミスでキッチンは大きく乱れ、その後のお客様の提供時間が大きく遅れる
こともあります。ですから、確実な料理提供が重要です。
ポイント①~④の状態をつくる
「状態をつくる」というのが重要なポイントです。
自分が作業に没頭し、他のポジションの状況がわからないとか、
仕上がった料理を全くチェックできていないとか、
オーダーと違うテーブルに運ばれていても気づかない、
などという状態ではデシャップは役割を全うしていません。
重要なのは「キッチンのコントローラーに徹する」、ということです。おそらくこれを読んでいる方のお店でキッチンを一人で回している人は少ないと思います。キッチンは複数でオペレーションしているでしょう。
ピークタイムとなれば、この複数のメンバーと分業してオーダーを作ります。
各ポジションに配置された人員、メンバーの能力に応じたオーダーが入ってくれれば
やりやすいですが、そんなことは皆無です。
天候や客層、団体様の来店によりオーダーの量も違えば、オーダーの内容も変わります。
調理ミス、フロアの提供ミス、オーダーの取り間違いなど不測の事態はしばしば起こります。
刻々と状況は変わりますが、デシャップ担当は状況を見極めコントロールしなければなりません。
つまり、作業指示と作業割り当て変更を繰り返し、他のメンバーを動かして、
スタンダードな商品を、優先順位通りに、規定時間内に、確実に提供する状態を作る。
これがデシャップの役割であり、デシャップコントロールという技術です。
以上の内容を覚え、自分に不足している点を顧みて日々の営業でこの技術を身に付けるよう取り組んでみてください。