新入社員が入る4月には少し早いですが、飲食店における正社員の
育成についてお話しします。私はチェーン展開する外食業出身なので、
これまでの経験と受けた教育を元にお話ししますが、店舗ビジネスをする
他業種でも同じことと思います。
大まかな流れは、
オペレーションマスター⇒コントロール⇒マネジメント
このように技術を習得していきます。
社員の育成手順(話の前提)
私の話の前提として、
・多店舗展開している
・新入社員は店長、キッチンチーフ候補として採用している
・将来の幹部候補として採用している
この3点をベースとしてお話しします。
多店舗展開しているという点が特に重要で、多くの店舗を展開して
経営しているということは、将来多くのポストに付ける可能性が
あります。また、会社側も事業の拡大と共に、社員の成長を期待するので
社員を育成しなければなりません。具体的に言うと、多くの部下を持ち、
運営できる人がたくさん欲しいと考えます。
これに沿っていくことは、教える店長も、教えてもらう社員も
双方成長できるチャンスがあります。
オペレーションマスター期(目安入社~3年)
入社後まずは、ワーカーとして勤務します。数値責任は持たず、立派な
作業員として育てます。
チェーンストア用語で「オペレーションマスター」を目指してもらいます。
ちなみに、マスターとは
①自ら完全作業ができる
②教えることが出来る
③改善案が出せる
この①~③の状態で「マスターした」と言えます。
店長は新入社員に店舗で発生する全ての作業を順番に教え、
新入社員は全作業をマスターする必要があります。
全作業というのは、キッチン、フロア、開店前作業、閉店作業、清掃作業、事務作業
など全てです。
このオペレーションマスターの期間は業態によって差が出ると思います。
特にキッチンの難易度によって差が出ると思います。ファストフードや
焼肉業態などは比較的早いと思いますが、仕込みから商品作成まで店舗で手作業
している業態は少し時間(5年くらい)がかかると思います。
(その分個人の調理技術はつきますね)
外食業の売り物は料理ですから、キッチン作業が最も重要です。
コントロール技術習得期(目安5年目以降)
ワーカーとして自立してきたら、コントロールという技術を身に付けます。
コントロールとは、
計画と実績を一致させる技術のことです。
小さなことでもよいので、目標(計画)を立ててもらい、目標達成に向けて
行動してもらいます。独力でやるのではなく、他の従業員の力を借りて
仕事をするよう教えていきます。部下、仲間を使うことを同時に覚えて
もらいます。
例えば、
ピークオペレーションでは、ディシャップコントロールをマスター
してもらいます。ディシャップ担当者はスタンダートな商品を
規定内の時間で提供しなければなりません。
スタンダート商品、規定内の時間(目標)を達成するために
部下に指示や作業割り当て変更を命じます。これを実践し、繰り返すことで
コントロールという技術を身に付けます。
別な例では、
仕入れの一部を任せ、目標と仕入れ額を一致させられるよう教えていきます。
いきなり店舗の仕入れ全て任せるのも良いですが、消耗品の仕入れや
飲料の仕入れなど単位を小さくするもの良いと思います。そして、損益書の結果を
見て達成できているのかどうか確認していきます。
マスターには当然個人差があります。また、ここでも作業の難易度によって差ができますが、
2年くらいは要すると思います。
マネジメント技術習得期 (目安7年目以降)
マネジメントの解釈はいろいろあると思いますが、チェーンストア用語で、
マネジメントとは
立てた目標を組織を使って、実現させる能力です。
店長以上どの職位でも必要となる技術です。
「組織を使って」ですから、マネジメントするにはコントロール技術の
習得が前提となります。
「立てた目標を・・・」とありますが、会社内の一店舗の店長ですから、
自店にはあまり合わない会社の指示が時に出ると思います。現場のパートさん達が
反発しそうなことも、皆をうまくまとめ、会社の方針に沿った店にしなければならない
こともあります。それもマネジメントです。
店長になる前にマネジメント技術を身に付けてもらうにはまずは、
お店の2番手としてキッチンやフロアどちらかを任せ、店長が目標を管理しながら
教えていくことです。
規模が小さい店では店長になってお店を運営しながら、
エリアマネージャーがフォローしてマネジメントを教えていくことも
現実としてあると思います。
ここまでくると入社7~8年経過しているので、「もうできるだろ」と
任せっぱなしにしがちですが、マネジメント技術を習得してもらうには上司の
フォローや教育は欠かせません。
マネジメント技術を身に付ければ、業種業態が変わっても通用する人になると思います。
店長はこの技術を深めるよう日々仕事をし、上司はただの店長ではなく、
「マネジメントができる一人の人間」
を育てる意識で教育していってください。
それが会社の発展、自己の教育力アップになると思います。
まとめ
社員の育成の流れをお話ししました。まずは作業を覚え、
人を使えるようになり、組織を動かすようになっていく。
これを年数かけて教えていきます。社員を早く育てようと初めから
なんでも詰め込むのではなく、順を追って教えていってほしいです。