これまでクレーム対応についてお話ししてきています。
直近では2次クレームを防ぐため、対応時の言葉の選び方、話法などについてお話しました。
今回は悪質なクレームに対しての対応法についてお話しします。
お客様へ誠心誠意対応し、こちらの不備に関してお詫びや、原状回復までしても納得してくれないこともあります。
また、こちらの不手際につけこみ過度の要求をしてくる方も稀にいます。
毎日営業していれば年に一度くらいは遭遇してしまうかもしれません。
過度な要求やいわれのないことに対しては断らなければなりません。
今回の記事を読めば過度な要求に対する対応法が分かると思います。
はっきりと断る
もう皆さんお分かりの通り、お客様へ迷惑をかけたのであればお詫びをし、
迷惑をかけた部分の原状回復が原則です。
それ以上の理由のない要求は受け入れてはいけません。
その際には、はっきりとお断りしてください。
よく悪質なクレームに対しては「毅然とした態度で対応する」などと言われることがあります。
「毅然とした態度ってなんだ?」と思う方もいると思います。要するに、できることはできる、
できないことはできないと明確にすることです。
今日の食事代全額タダにしろ!
「私共の誠意は、これまで重ね重ねお伝えしたお詫びと、間違いがありました商品のお取替えでございます。それ以上のことは致しかねます」
コーヒーこぼしやがって、どうしてくれるんだ。誠意を見せろ!
「私にできる誠意はお客様へのお詫びと、汚してしまったお洋服のシミをとることです。
もし、汚れが落ち切らなければクリーニングにお出しします」
このようにできること、できないことを明確にし、それ以上のことは断ります。
相手に屈しないためには
相手に屈しないために重要なことは、事実確認と調査で原因をはっきりさせることです。
何があったか事実を調べ、因果関係をはっきりさせます。そうすることで、自分達に非があることと、そうでないことが分かると思います。非があることにはお店や会社で対応し、そうでないことへの要求は受付けないことです。
過去私が店長時代、中ジョッキの口のところが欠けていて、唇を少し切ってしまったというクレームがありました。切ってしまったのは奥様ですが、その旦那さんが怒っています。
それについて、私はお詫びし、商品のお取替え、血が止まらないようなら医者に行きましょうとお話ししました。
「もう大丈夫だから」と一度は収まりましたが、しばらくしてまた旦那さんに呼ばれ、
「やっぱり納得がいかない」
「もしこれが子供だったらどうしたんだ」
「ビール代だけ引けばいいと思っているのか」など
先程落ち着いた態度から急変しています。一緒にいた仲間にご夫婦が焚きつけられたのかもしれません。この急変ぶりにさすがに私も驚きましたが、再度話を聞き解決策を探しました。
はっきりとは言いませんが、お詫びのしるしとして刺身盛り合わせなどの商品を持ってこい、さらに今日の食事代を全額タダにしろ。という主張を延々続けてきます。
旦那さんと別部屋でお詫びして話しても納得せず、相手は主張を曲げません。
数時間つかまりましたし、脅されもしました(警察に通報しても良い案件でした)。
最後は「今自分にできる最大限のことはさせてもらった。これ以上のことは一切対応できない」と
伝え、お代をいただいて帰ってもらいました。
非があることへのお詫び、原状回復はしましたし、自分の対応の悪さなどもお詫びして
自分とすればやるべきことはやったと考え、折れそうになりながら折れませんでした。
「今回だけは全額タダにする」と言えばその場はすぐに収まったのかもしれませんが、絶対にまた来ると思い拒絶しました。
こういう案件は大変ですが、不当な要求に対しては受け入れないことが大事だと思います。
また、このようなクレームが発生したら周りの従業員が警察へ通報できる体制を作って
おいてください(かつての私はできていませんでした)。
安心できる味方をつくる
クレーマーによる悪質クレームは頻繁にあることではありませんが、遭遇した時の
対応はやはり大変です。一人では精神的にきつくなりますし、判断に迷うことは
あると思います。ですから、いざという時に協力や相談ができる体制を整えておきましょう。
➀対応する仲間をつくる
上司、部下、近隣店舗の店長などと常に情報共有し悪質なクレーマーには複数人数で
対応しましょう。店内で一人だけで対応していても、部下が上司に報告しておく。
上司につながらなかったら、近隣店舗の店長に相談するなどして孤立させないことが大事です。
②警察や暴力追放運動推進センターを利用する
困ったことは警察に相談します。警察は民事不介入と言われていますが、刑事事件に
なるかどうかも尋ねることで分かります。
暴力追放運動推進センターは暴力団などの反社会的勢力やクレーマーなどで困っている
場合に無料で相談に乗ってくれます。
知識のない新人店長時代に暴追セミナーを受けた時は非常に為になりました。
③弁護士に相談する
現場の店長が直接弁護士に問い合わせることは少ないと思います。
しかし、企業には必ず顧問弁護士がいると思いますので分からないことは問い合わせて
相談した方が良いでしょう。
まとめ
不当な要求や過度な要求はお断りしましょう。ただ、クレーム対応は精神的に非常につらいものです。お客様に怒鳴られたり、過度な要求をされたりするので長期化すると精神的に追い詰められます。その時孤立感があると気持ちが萎えて、相手の言いなりになってしまうこともあります。その為に普段から相談できる味方
(上司、部下、店長仲間、総務部、警察、弁護士)と連絡できる準備はしておきましょう。
連絡表にまとめておきいざという時、自分以外の従業員が電話で切る体制にしておくと
便利です。
また、悪質なクレームの案件は内容とどう対応したかを店内、会社内で共有してください。店長会議等で他の店長の意見や対応方法を聞き学ぶことで知識が共有化されて
強い組織になります。
今日はこれでおわりです。この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。