改めて確認となりますが、エリアマネージャーは担当エリアの店舗のQSCのスタンダードを守り、向上させる。売上を上げる。利益を確保する。部下である店長を育成し、店長の評価を上げる人です。前回は売上対策について書きました。今回は経費対策について書いていきます。
利益を確保するには売上(収入)を上げる、経費(支出)を抑えるこの2つの方法があるのはお分かりかと思います。では、利益を上げるには「経費を極限まで抑えればいいのでは」と考えてしまいますが、そうとも言えません。使わなければならない経費は使い、無駄なものは抑えます。そうしないと、QSCを維持、向上できなくなります。利益を追いかけ、必要経費を抑え過ぎてお店の質を下げてしまっては意味がありません。
経費は適正に使って、お店の利益、エリアの利益を確保して会社に貢献していきましょう。
今回の記事を読めばエリアの経費対策が分かり、利益を上げるやり方が分かると思います。
まずは数値分析
売上対策と同じです。まずは自分が担当するエリアの数値分析から始めます。エリアは個店の集まりですから、担当店舗の現状を知り、問題点を発見します。各経費項目で基準値から外れている経費を確認し、どうして数値がブレているか推測します。そして、実際に現場へ行き作業を確認(問題点を発見)します。
売上対策のところでも触れましたが、エリアマネージャーは毎日担当店舗へ行けません。受け持つ店舗数にもよりますが、訪店は週に1回程度だと思います。ですから、損益書などから数値のブレを確認し、考えうる原因を推測し、お店に言った際ピンポイントで原因を確定する。その上で指導することで効率良くエリア運営ができます。
原価対策
飲食業の2大経費である原価を適正(基準値に近い数値で管理)に使用すること。これが最も重要です。当然店長時代もこれについては日々厳しく取り組んでいたはずなので分かると思います。店長時代は自分の店だけを見ていますが、エリアマネージャーとなり複数店を見ていくと、お店ごとの管理状態の差が良く分かると思います。数値と状態が良いお店の共通項、悪いお店の共通項も分かってきますよね。
過剰在庫を直す
原価が適正値とブレている(基準値より多く使っている)店は私の経験上、過剰在庫のお店がほとんどです。原価管理ができていない店のバックヤードの冷蔵庫を開けると大概、在庫でパンパンです。もちろん、冷凍庫もパンパンです。ここを改善することが原価管理を良くする近道だと思います。
過剰在庫が改善されると、整理整頓がしやすくなります。そして、発注の際、在庫のカウントがしやすくなり、余計な発注がなくなります。先入れ先出しもしやすくなるため、ロスも減るはずです。納品作業も軽減されます。このように在庫量を適正にすることで原価管理に好循環が生まれます。生鮮品は鮮度が向上することは言うまでもありません。
ポーション管理
じわじわと効いてくるのがポーション管理です。レシピ通りに食材を使用しているか。マニュアル通りの仕込み作業ができているか。過食部分を捨てすぎていないか。現場の作業を確認しましょう。特に単価が高いもの、使用頻度が高いものから手を付けて行きます。
業態やメニューによって変わると思いますので、担当店舗で確認する食材を決めて実際に従業員が使う食材を計量してみてください。出来ていなければ正しい分量を教え、しばらくは計量してもらう必要があります。
原価がブレる原因は数多くあるので対策を店長と協議して、改善を見守ってください。
ちなみに、エリアマネージャーの必要スキル「数値分析力」のところでも少し触れていますのでそちらも参照してください。 (エリアマネージャーの仕事)
人件費対策
2大経費のもう一つ、人件費についてです。原価同様に利益を優先して抑え過ぎてはいけません。人件費を削りすぎては十分なサービスはできません。人件費も適正に使用することがサービス状態を維持、向上させるには重要です。
ワークスケジュールの確認
人件費過剰店舗にも共通点があると思います。常に人件費過剰になってしまう店舗は計画段階で基準より多い時間でワークスケジュールが作成されていることがほとんどです。
予測客数に対して、常に100%以上のワークスケジュールが組まれています。計画から過剰では、当日予測客数が割り込んだ時、修正しきれず、過剰になってしまいます。
店長と協議し、予測客数に対して100%以内でワークスケジュールを作成するようにしていきましょう。
ただし、新人トレーニングや目的のある余剰人員は認めてあげるべきだと思います。今後のお店作りの方向性が店長と共有で来ていれば良いのです。
残業対策
社員残業も人件費がかさむ原因です。残業がなぜ発生してしまうのか現場を確認します。
残業が発生する原因
・一日の労働時間が長い
・休日出勤発生
オープン時間帯の人員不足、閉店時間帯の人員不足
・パート、アルバイトに任せられる時間帯がない
いずれも原因は人員不足ですが、内容は二種類あります。
・単に人がいない(従業員数不足、出勤率低い)
・任せられる人がいない(能力不足)
それぞれ対策が違いますので、担当店舗には何が不足しているのか確認し、対策を店長と協議してください。
どうしてもパート、アルバイトが採用できない。また、任せる時間帯がなく、社員が朝一番から閉店までいるようなお店には一時的に社員を増やすなどの対策も検討しましょう。労務環境を整え、採用活動やトレーニングに注力できる状態を作ります。一時的に人件費が上昇するかもしれませんが、未来のために、社員配置を考え人事異動案を通すのもエリアマネージャーの重要な仕事です。
食器、備品費対策
食器や備品などは店長が適正に使えばよいのですが、過剰に余っているお店があったら
エリア内で移動して経費を抑えます。店舗は他店の状況はあまりわからないので、エリアの店舗を訪店しているエリアマネージャーが均一化することでコストを抑えます。
新店が一定期間を過ぎて、オープン景気が落ち着いた頃、倉庫に使っていない食器、器具が眠っているなんてないでしょうか。担当店舗の余剰、不足を把握しておき調整してください。
まとめ
経費コントロールについては店長時代に取り組んでいたことを元に、指導していけば良いです。ただ、店長ではどうにもならないことはエリアマネージャーとして手を打ちましょう。
特にエリア内の社員の異動は店長にはどうすることもできません。エリア内で人件費管理に大きな差が出ていたら、均一化するのも一つ手段。人事案を提出し、実行させましょう。それがエリアマネージャーの役割でもあります。
エリアマネージャーは店長時代、経費コントロールに成功し利益を確保して成果を出してきたはず。しかし、多くの店を見るようになると自分とは違ったやり方で経費をコントロールしているお店もあります。一方でこんなことも知らないのか、なんてこともあります。ですから、成功事例を展開し、エリア全体の数値改善とレベルアップをしていってください。
今回の記事を読んで少しでもお役に立てれば幸いです。