前回はエリアマネージャーとはどんな役割かと、エリアマネージャーの必要スキルについてお話ししました。今回は実際に担当店舗の業績を上げるポイントを共有していきます。まずは、売上対策について書いていきます。
これを読めばエリアマネージャーとして担当店舗の売上向上対策が分かると思います。
まずは数値分析
業績を上げるには現状の数値を知り、良くするために改善策を立て、実行していきます。
数値分析は基準値からブレている項目を見て、原因を推測します。エリアマネージャーは毎日担当店舗に行けるわけではありません。担当店が多ければ尚更です。本部への出勤や店長会議などの会社行事と自分の公休ですでに月の半分くらいは埋まります。ですから、担当店舗を毎日訪店することなど物理的に無理です。
毎日行けないからこそ、店舗の数値結果(損益書、週報、日報)を観察、分析、判断をしなければ効率的に仕事はできません。ですから、数値分析は需要な仕事です。数値には何でも基準値がありますので、その基準値を分かっていてください。店長時代から帳票を見て分析し、行動していれば問題ありません。そのような人しかエリアマネージャーにはなっていないと思いますが・・・。
損益書の見方はこちらを参照してください。(損益書について)
担当店舗の売上を上げる
では実際に売上対策です。確認ですが、売上高=客数×客単価ですよね。ですから、売上を上げるにはこのどちらか一方か、又は両方上げていかなければなりません。
客数対策
客数対策は「店の全てを良くする」の一言ですが、それでは終わらせられないので、
箇条書きにポイントを上げていきます。
落ち込んでいる日を分析
・どの曜日が落ち込んでいるのか
・どの時間帯が落ちているのか
・どの時間帯が伸びているか ⇒ 成功事例は共有できます
対策を講じるには細部まで分かっていれば効果的です。
一番大事な商品について
・正しい料理が提供されているか(味付け、分量、盛り付け、食材鮮度、提供温度、食器の汚れ、チップはない、提供時間は遅くないか)
・オーダーストップはないか
・ドリンク提供は遅くないか、アフターのデザートは遅くないか
・アルコール類の提供時間は遅くないか
・カクテル類の分量は正しいか
・生ビールはおいしいか(サーバー清掃毎日してるか)
・デシャップコントロールはできているか
・フロアとの連携はとれているか
サービスについて
・笑顔で接客はできているか
・不愛想な従業員はいないか
・お店の活気はあるか
・入り口で待たせてないか(ご案内にすぐ来るか)
・ウェイティング時間は
・バッシングは素早く行われているか
・中間サービスはできているか(中間バッシング、お冷、お茶お替りなど)
・アフターのドリンク、デザートは待たせていないか
・会計を待たせていないか
・食べ方の説明はできているか
・商品説明はできているか
・コンディメントの説明はできているか
・従業員間の連携はとれているか
・各自優先順位通り動けているか
・スムーズに回転させられているか
・料理を速やかに運べているか
・店長の動きは正しいか(指示出し、作業フォローはできているか)
・従業員の作業スピードはあるか
クリンネス
・客席のテーブル、イスはきれいか
・トイレはきれいか(清掃状態、営業中のチェックはできているか)
・店内床の状態
・入り口、風除室
・駐車場
・植え込み
・ドリンクバー周り
・メニューブックはきれいか
・客席設置の調味料容器
冒頭でもお話ししたようにお店の全ての状態を良くすればお客様に支持され、客数は徐々に増えていきます。しかし、いきなり全部は無理なので、数値とお店の状態を見て対策をしていってください。やはり飲食店なので料理をしっかり作り、お客様へ提供することが優先度は高いです。
客単価対策
客単価はメニューによってほぼ決まってしまうのでお店で変えることは難しいです。
しかし、客単価が高い店と低い店で差が出ることがあります。その差はオペレーションです。(立地条件は除いて)
客単価を上げるには
客単価=皿数×皿単価ですから、客単価を上げるにはたくさん注文してもらうか、単価の高い商品を注文してもらうかです。
スムーズなオペレーションを行う
たくさん注文してもらうにはスムーズなオペレーションをすることです。
料理の提供時間が早ければ、「どんどん料理出てくるし、もう一品頼もうか」となりますよね。
逆に、料理も遅い、ドリンクも遅いとなれば、お客様があと一品頼もうかと思っても、「どうせ頼んでもすぐ来ないから、もう帰ろう」となります。
推奨販売を行う
今日のおすすめなどこちらからお客様に商品を紹介し、頼んでもらいます。また、「お飲み物はいかがですか」、「ドリンクお替りいかがですか」、などこちらからお声掛けすることで注文数を増やしていきます。
高単価の商品を注文してもらう
コース料理などのご予約のお客様へ高単価な商品をおすすめします。もちろんお客様は予算がありますので、やみくもに高単価商品をお勧めしても敬遠されます。ワンランク上のコースを注文するメリットを説明し誘導します。一見高く見えてもコストパフォーマンスがより良い商品にしておく事が必要です。
このような客単価を上げる攻めの取り組みには、しっかりとしたオペレーションが店舗でできていることがベースになります。
売上を上げる企画をつくる
売上を上げるにはお店の状態を良くするのが基本ですが、外へのアピールやお客様を引き付ける企画も来店を促すきっかけとなります。特にエリアマネージャーは近隣店舗を見ていますので、負けている競合他社に対抗する企画を実行しお客様を奪い返さなければなりません。メニューや販促企画を店長と練り、本部から商品をもらい実行します。
・ランチでお得なセットメニューを作る、増やす
・ティータイムのデザートセット
・ディナータイムにもお得なセットを用意する
・他社より安い価格設定をする
・生ビール1杯無料
・次回ご来店用のクーポン配る
・チラシポスティング
・スタンプカード活用
・SNSでクーポン配布
・セール日を作る
・DMでお得情報配信
・SNSでおすすめメニュー配信
などなど。
私がエリアマネージャーをしている頃と比べSNSが当たり前の時代になっていますので、個店別の販促はやりやすくなっていると思います。SNS慣れしているアルバイトさんの意見も聞きながら販促企画を練っていきましょう。
まとめ
売上対策について書いてきました。オペレーションの改善はエリアマネージャーと店長とのやり取りでできますが、販促企画やメニュー企画などは本部の担当部署に動いてもらわなければできないこともあります。担当店舗の売上を上げるためにも、企画を提案してくれた店長のためにも、本部と掛け合い企画を形にしてください。
その成功事例が横展開し、自エリアや会社全体の業績を動かすきっかけにもなります。
これがエリアマネージャーという仕事のやりがいではないでしょうか。今まで1店舗の店長だった自分が大きな組織を動かし、組織の数値を良くすることで仕事への満足度が上がり、会社への貢献度も上がります。
SNSの活用などは私自身も勉強していかなければならないところです。皆さんも今回の記事を読んで少しでもためになったら幸いです。