今回はクレーム対応について書いていきたいと思います。
どんな職種であれ仕事をする上でクレーム対応は避けて通れないと思います。
クレーム対応は不安や怖さもあると思いますが、店舗で発生したクレームは店舗で解決することが原則です。
店長として、店長代行としてお客様と向き合いしっかり対応しなければなりません。
マネージャーの5大職務の中に緊急対応がありました。店長が全てクレーム対応する必要はありませんが、店長だけしか対応できないのも問題です。
この記事を読めば一般的なクレーム対応はどうすればよいか理解できると思います。
なぜクレームは起きるのか
なぜクレームは起きてしまうのでしょう。
それはお客様のお店に対する期待のレベルとお店の実際のオペレーションとの間に大きな格差が生じた時に起こります。
・料理が遅い
・味がいつもと違う
・ぬるい、冷たくない
・異物混入
・注文が間違えている
・予約の内容と違う
・後から来た人が先に案内される
・従業員の態度が悪い
など様々なことが原因でクレームが発生します。
クレームを起こしてしまったことはしょうがないので、それについてはお詫びをして、要望通りに対応してあげれば大抵のお客様は許してくださいます。
しかし、対応を間違えると2次クレームとなり、お客様の怒りは増幅し解決が難しくなります。
2次クレームについて
2次クレームとはどんなことでしょう。それはクレーム対応の不手際に対してさらに
クレームが起こることです。皆さんも経験があるかもしれませんが、結構最悪です。
・料理が遅い以前に、お詫びもできないのか!
・値引きすると言いながら、レシート見たらされてない!
・苦情を言ったら従業員ににらまれた!
・後日連絡をくれると言われたが、一向に来ない!
などなど・・、書きながら気分が落ちてきます・・・。
こうなると、最初の不手際はどうでもよくなり、従業員の質、態度、お店の教育体制、店長の指導不足など怒りの矛先が複数になり簡単に収まらなくなります。
こんなことにならないようにクレーム対応を学んでいきましょう。
クレーム対応はマニュアル化できない
クレームの対応方法を知る前に覚えておくことは、クレームはマニュアル化できないということです。
もちろん、「こういう手順で対応しよう」ということはありますが、マニュアル通り対応すれば全てのお客様が許してくれるということはありません。
お客様によって要望が違うからです。
例えば、
「料理に髪の毛が入っていた」
こんな時どう対応するでしょうか。まずお詫びするのは当たり前ですが、
次に、
・作り直す
・商品代を値引きする
・お詫びだけで済ます
・髪の毛入らないように指導し直す
このような対応をするのではないでしょうか。これは全て正解でもあり、不正解とも言えます。
・作り直す ⇒ もう食べられない。時間もない!
・商品代を値引きする ⇒ お金を払いたくないのではない!
値引き狙いのクレーマー扱いするな!
・お詫びだけで済ます ⇒ お詫びだけで済ますのか!今後、店をどうするんだ!
・髪の毛が入らないように指導し直す ⇒ 髪の毛入りの商品代を払わすのか!
このように「髪の毛が入っていた」という事例に対していくつか解決方法がありますが、
お客様の要望と外したことを提案すれば逆に怒らせてしまいます。
ですから、「以前これで許してもらえたから」と安易に「すぐ値引きします」なんて言えば怒られることもあるのです。
これがクレーム対応をマニュアル化できない理由です。
クレーム対応の流れ
クレーム対応はマニュアル化できないとはいえ、全く知識がなくてはお客様対応は怖くてできないですよね。それに知識がなければ、対応の仕方を教えることもできません。
ですから、ここでは一般的なクレーム対応流れをお話ししていきます。
1. お詫びする
「大変申し訳ございません。」
お客様はお店の不手際に怒っていますから、まずはそのことについてお詫びします。
謝ることによって敵意がないことを分かってもらいましょう。また、パート、アルバイトさんに呼ばれてクレーム対応を引き継ぐ時は自分の身分を明かしてからお詫びししましょう。
「店長の○○です。/時間帯責任者の○○です。この度は大変申し訳ございません。」
2. お客様の言い分を聞く
次にお客様の言い分を最後まで聞きましょう。
途中で話をさえぎらず、反論もせず最後まで聞いてください。お客様は胸の中にあることを全部吐き出すと冷静になる方が多いです。
3. 苦情の真の原因を探る
お話しを聞きながらお客様は何に対してお怒りなのか察知します。
原因は一つではなく、不手際が何個か重なって怒りが爆発するケースは多いです。
4. お客様の立場になって同情する
お客様の話を聞くと、確かに自分がお客でも腹が立っただろうな、ということもあります。そんな時はお客様の感情に寄り添うと怒りが収まることがあります。
「それではお怒りになるのも無理はありません・・・」
「確かにそうですね。ご迷惑をおかけしました・・・」
5. 苦情処理の方法を考える
何に対して怒っているのかを察知したら、何を望んでいるのか、どうして欲しいと思っているのかを考えます。
・ただ謝ってほしい
・作り直してほしい
・値引きして欲しい(髪の毛入っているものにお金払いたくない)
・再発防止のための方法が知りたい(店が好きだから改善して欲しい)
6. 処理方法をお客様に了解してもらう
7. 直ちに実行する
8. 落ち着いた頃にもう一度伺う
中間サービス時に、「先程は大変失礼いたしました。」
9. 会計時に最後の謝罪をする
お客様がお帰りの時にお詫びする。
「本日は大変失礼いたしました。是非またお越しくださいませ。」
一度お詫びして許してもらえたと安心し、放置してはいけません。
私は「最後にお詫びもできないのか!」と叱られた経験が多々あります。クレームを受けたお客様については、特にテーブル状況を最後まで把握し、放置しないようにしましょう。
これが一般的なクレーム対応の流れです。
現役の店長さんは当たり前に普段していることと思いますが、部下に対応方法を教える時にも役立ててください。
一番のクレーム対策
最も良いクレーム対策は当たり前ですが、起こさないことです。
クレームが起きるということは何かレベルの低いものを提供しているということです。常に良い商品、良いサービス、きれいな店内が保たれていればクレームが頻発することはないと思います。
そのために、店長の4つの準備業(客数予測、発注、スタンバイ、ワークスケジュール)の
精度を上げ、日々のトレーニングでキッチンの生産能力、フロア従業員のサービス質を向上させて行ってください。
まとめ
クレーム対応は誰しも気持ちの良いものではありませんので、起こさないようにお店の質を上げていくことが大事です。しかし、最善を尽くしてもクレームが起こることは当然あります。
その時は覚悟を決めて対応しましょう。
怖いと言って逃げず、お客様に真摯に対応すればきっと理解していただけます。
普通のお客様は店には何も文句を言わず、黙って帰り、多くの人に店の悪口を言います。そして二度と来店されないでしょう。
ですから、クレームは貴重な意見として捉え、店の作業、接客を改善していきましょう。クレームをもらったお客様が後に常連様になり、店長の味方になることは珍しくありません。そうなると商売が楽しくなりますよね。
長くなりましたが、今日は以上です。
現役店長や店長を目指す方々に参考になれば幸いです。