今日はフロア作業の優先順位についてお話しします。
フロアは直接お客様と接する場。お客様のご要望が飛び交い、
ベルスター設置店は「ピンポーン」が鳴り、ウェイティングシート
からはお客様の視線が注がれます。特にピークタイムはお客様が最も多い時間。
客数に比例して作業量も増加し、お店は忙しくなります。
忙しい時間は好きですか?
嫌いな人はピークタイムが怖いのでしょう。
ではなぜ怖いのか。
お客様やキッチン従業員から煽られ、せかされるからではないでしょうか。
つまり、いつもお客様振り回され、いつ怒られるかビクビクしているからなのでしょう。
これを変えていくには「優先順位」を理解し、実践することです。
「優先順位」を理解すれば、沢山の作業が同時発生するピークタイムも
怖くありません。優先順位通り順番に進めていけば良いのです。
これを読めばフロア作業の優先順位が分かり、順序立てて作業ができると思います。
フロア作業の構成
優先順位のお話しの前に、フロア作業を理解しましょう。
フロア作業はお客様の要望に対して作業が発生しています。
お客様の要望 接客作業
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1. 入店後席に座りたい ⇒ ご案内
2. おしぼりで手を拭きたい ⇒ お冷おしぼり提供
3. 注文をしたい ⇒ オーダーリング
4. ビールを飲みたい ⇒ ドリンク提供
5. 料理を食べたい ⇒ 料理提供
6. お冷をお替りしたい ⇒ 中間サービス
食器を下げて欲しい
7. 食べた代金を払いたい ⇒ 会計
8. すぐに座りたい ⇒ バッシング
このようにフロア作業はお客様の要望に対して発生し、
8つの作業で構成されています。ご来店時間によって進行状況は
様々ですが、この8つの作業を繰り返しています。
優先順位について
多くのお客様がご来店されれば、8つの作業が同時発生します。
特にピークタイム中盤、満席になると入れ替えが発生するため、作業が重なります。
ここで優先順位を理解し、実践することが重要です。
フロアの優先順位(①が最も優先順位が高く以下順番に下がっていきます)
①お客様の要望、苦情
②店長の指示
③ご案内、お会計
④オーダーリング
⑤ドリンク提供
⑥料理提供
⑦お冷おしぼり提供
⑧中間サービス
⑨バッシング
もちろん、お店や業態、企業の考え方で前後はあります。
入り口にお名前を記入してもらうシステムをとっていたり、
発券機を設置したりして機械化しているお店などは少し優先順位が違うかもしれません。
お客様は何をしにお店に来ているのかを考えれば、優先順位は自ずと
決まってくると思います。
では順を追って説明していきます。
①お客様の要望、苦情
お客様の要望や苦情は最優先で対応しましょう。「取り皿もってきて」などといった
こともすぐに対応します。
すぐにできない場合は「少しお時間をいただきますが、よろしいでしょうか。」など
お声掛けをし、今やっている作業が終わったらすぐに対応してください。
お断りしたり、放置するのはもってのほか。とにかくご要望は最優先で対応してください。
これを忘れたり、後回しにしてお待たせすると苦情になり、最優先事項が増え、
フロア従業員の連携が乱れます。
②店長の指示
店長はお店全体を見ています。お店全体のお客様の要望や客席の状態を
把握しています。その店長からの指示はお客様の要望と捉え、すぐに動きましょう。
あなたがしようとした作業より優先度が高いから指示していることを理解してください。
③ご案内、お会計
入店されたお客様を放置してはいけません。入り口で声もかけられず
放っておかれたら、お店の印象は悪くなります。
作業をしていてすぐにご案内に行けなければ、優先順位が低い⑦~⑨の作業を
している他の従業員に入口へ行くよう指示します。
それも無理なら、
「すぐにご案内しますので、少々お待ちください」
「そちらの受付表にお名前を書いてお待ちください」
などお伝えし少し待ってもらいましょう。
誰も対応せず、声もかけず、ただ入り口でお客様を待たせることは止めてください。
お客様に最初から悪い印象を与えて良いことは一つもありません。
クレームの種を撒いているのと一緒です。
お会計も同様です。
すぐに対応できなければ、優先順位が低い作業をしている他の従業員を呼ぶ。
すぐに行ける従業員が誰もいなければ、
「申し訳ございません、少々お待ちください」とお声かけします。
レジ前のお客様を放置するのは止めましょう。
注意点
ご案内は最優先ですが、それだけに囚われてとめどなく一気にご案内すると、
お店が崩壊します。お客様が一気に入店するとキッチンの生産力を超え、
料理提供が遅れます。どう頑張っても作り切れないオーダー量はありますので、
キッチンの生産力とご案内のバランスを取ることは大事なポイントです。
ピークタイムではレジホスと店長が確認し合い、入店のコントロールをすることも
あります。
入り口の混雑がなくなり、ほっとしていたら、料理が全然出てこなくなった
ことはありませんか。その後の地獄を想像するとぞっとします。
ただし、安全優先でご案内を遅らせてばかりでは、売上は伸びません。
心当たりのある店長は店の実力を上げていく必要がありますね。
④オーダーリング
ご案内をしたらオーダーリングを優先します。
フロア作業の順番としては、ご案内⇒お冷おしぼり提供⇒オーダーリングと
なります。
この順番通りが基本ですが、ピークタイムで多くの作業が同時発生しているときは、
お冷おしぼり提供より、新規オーダーを取ることを優先します。
その際、お冷やおしぼり提供が済んでいるか確認することが大事。
もしまだなら、「申し訳ございません、お冷をすぐにお持ちします」
と、お声かけしてオーダーを取った後すぐに提供してください。
⑤ドリンク提供
オーダー後の最初のドリンクは優先して作ります。
お客様は注文してから頼んだものが何も来ないと不安になり、
イライラしてきます。特にお酒を飲まれる方は食事の前に「早くビールが飲みたい」と
思っています。
ドリンクのオーダーが入ったらすぐに作成し提供しましょう。
飲み物が来ればお客様も安心して料理を待てます。
追加のドリンクは最初のドリンクより待ってもらえるので(でも5分が限度)、
最初のドリンクを優先して下さい。
⑥料理提供
次は料理提供です。キッチンからおつまみやサラダなどから順番にディッシュアップ
されるはず。パントリーにため込まず、出来上がったら早く提供しましょう。
飲み物があってもおつまみがなければ、お酒は進みません。
お客様の最大の目的は食事をすることです。
より早く料理提供することで、お客様の満足を得られます。
⑦お冷おしぼり提供
オーダーリングでも触れましたが、通常ご案内した後にお冷おしぼりは提供します。
しかし、どのポジションも作業で溢れているピークタイムでは優先順位は
下がります。
ただし、ドリンク提供までにはお冷おしぼりを出してください。
「飲み物は来たけど、お冷がないんだよ」
「料理は来たけど箸がないよ。何で食べるの」
なんていう状態は最悪ですので注意してください。
ピークタイムはここまで(①~⑦)のフロア作業が滞りなく流れているかが重要です。
今いるお客様の要望をかなえることが優先となります。
⑧中間サービス
空いた食器を下げたり、お冷交換や食後のお茶の提供など、
お客様の満足度を上げるには当然必要なことです。
ただ、優先順位と考えると①~⑦と比較して低くなるというだけ。
最も忙しい週末のピークタイムに優先順位を守り、中間サービスまで隈なく
行える店を目指してください。
⑨バッシング
バッシングとは後片付け、セッティングのこと。言い換えれば、次のお客様を
ご案内する為の準備です。
今いるお客様の満足が優先なので、バッシングの優先順位は下がります。
しかし、満席ウェイティング時には最優先でバッシングしなければならない
時もあります。
通常優先順位は低いですが、最優先になることもあるのが、バッシングです。
最優先で行う場合は店長が指示してください。
まとめ
店舗の設備、企業の考え方でこの優先順位は多少前後することはありますが、
ここまでがフロア作業の優先順位です。
フロアの従業員全員がこれを理解して、この通りに動けるように日々
訓練しておくことが大事です。
そして、優先順位通りに動ける従業員をピークタイムに必要な人数確保する。
そうして初めて満足のいく営業ができると思います。
人揃えとは人数×能力です。
ピークタイムをお店主導で回せるよう平日の営業で教育、訓練していってください。