今回はエリアマネージャーの仕事について数回に分けて書いていきます。
外食業に関わらず、店舗ビジネスをする企業の多くが設けている役職で、エリア管理を任された人を差します。
「チェーンストアのための必須単語1001」によるとエリアマネージャーとは、
エリア単位にマネジメントするオペレーションラインのマネージャ-。
ストアマネージャーの上司で、競争対策の責任者。
単なる店長の監査役ではない。とあります。
「競争対策の責任者」というのがポイントです。しかし、これでは分かりにくいので、分かりやすく説明していきます。
今回の記事を読めばエリアマネージャーはどんな仕事内容と必要スキルが分かると思います。
エリアマネージャーとは
担当エリアの店舗のQSCのスタンダードを守り、向上させる。
売上を上げる。
利益を確保する。
部下である店長を育成し、店長の評価を上げる人です。
ちなみに、Q(クオリティ)とは商品の品質、S(サービス)とはその名の通りサービス、C(クレンリネス)とは清掃状態、清潔さです。
担当エリアは個店の集まりですから、各店舗の業績を上げることで、結果的にエリアの業績が上がります。なので、自分が担当するエリアの業績を上げるには各店舗のQSC状態を向上させて売上を上げ、経費を適正にし、利益を確保するしかないのです。
では、エリア運営をするにはどんなスキルが必要でしょうか。以下に記述していきます。
エリアマネージャーの必要スキル
エリアマネージャーは店長を経てから就く役職です。店長の延長線上にあるので、店長に必要なスキルとほぼ同じですが、店長より高度なスキルや違ったスキルが必要です。
オペレーション力
店長や店舗の従業員の指導をするとなるとやはり、オペレーション力は必要です。
店長を長く経験してからエリアマネージャーになればここは問題ないと思います。自分がオペレーションをできることは前提ですが、
ポイントは自ら店舗に入って作業をやりまくってはいけないということです。作業の問題を発見し、店長を通じて指導、改善させるのがエリアマネージャーの仕事です。
店長や店舗従業員のオペレーションを見かねて自分が作業者になったら、店長はどう思うでしょうか。もちろん、見本を見せる意味でのオペレーション参加は良いと思います。人員不足でやむを得ずヘルプに入りオペレーションすることもあるかもしれません。
しかし、エリアマネージャーは作業員ではありません。自分のオペレーションをひけらかして満足していては、店長はついてきませんし、お店は良化しません。
数値分析力
売上向上のためには現状の分析が必要です。
それには担当店舗全店の数値を分析する必要があります。数値は行動の結果なので、基準値からブレている数値には店舗で何らかの問題があるはずです。
数値を見て問題点を推測する。
問題を放置すれば未来はこうなる。
という予測を立てて現場に行き、作業やお店の状態を確認します。改善策を店長と共有し、実行してもらいます。数値の分析だけできても数値を良くしなければ意味がありません。
分析の例としましては、
例えば、原価率が基準値より0.5ポイント高い
・在庫量は適正?
・ロス金額はどれくらい?
・ロス金額の内訳は分かっている?
・原因がわからないロスはないか?
・発注量は基準通り行っている?
・冷蔵庫、冷凍庫は整理されている?
・スタンバイ量は基準通り?
・客数予測の精度は?
・棚卸しは正確にできている?
・商品のポーションは正しい?
・調理ミスは多くない?
・オーダーミスは多くない?
・従業員が無断で調理、食事してない(不正)?
など、まだまだ推測できることは沢山ありますが、このように数値を見て原因を推測します。
これはどの数値でも言えることです。
数値向上への手順としては、
①月間の損益書を確認・・・問題点を推測、お店のクセ、未来を予測する。
②現場を確認・・・自分の推測通りか確認する。
③改善案を共有・・・店長と改善策を共有(いつまでに、誰に、何を、どうするか)。
④日報、週報を確認・・・数値の変化を見ていく。改善策が実行されているか。改善策は正しいか。
⑤現場を確認・・・改善策が実行されているか。継続されているか。次の課題へ取り組む。
②③④⑤を繰り返し、店長と決めた課題をクリアして数値を良化させていきます。
企画力
販促計画や内容を考え提案、実行します。
チェーン店であれば、本部の担当者が販促内容や、メニュー政策を考えます。エリアマネージャー含め現場はその施策を実行するのみです。
しかし、やはり店特有の事情や問題はあるので、個店別のイベントや販促を企画し、店舗で行い売上向上を目指します。会社の自由度によってエリアマネージャーがやれる範囲は違うと思います。ただ、現場を見て店長と意思疎通ができているのはエリアマネージャーだけです。店舗に合った企画を提案し実行していってください。
本社の政策は全店のことを考えてのことではありますが、立地や地域性、競合店の出店など各店事情は異なります。本部の政策を実行、徹底するだけでは店長からエリアマネージャーに昇進した意味は無いと私は考えています。
調整力
企画力と密接につながります。企画を立てても、何から何まで自分一人ではできません。本部の各部署と連携していかなければ、お店で販促企画を実行できません。また、一つの部署で全てを行えるわけではありません。
だから、企画を実行するためにはそれに携わる部署に動いてもらわなければなりません。どの部門もそれぞれ今の仕事で忙しいはず。新しい提案は嫌がられることが多いです。
しかし、それに屈しては店舗の売上を上げられません。店舗が困っていることも解決してあげられません。利害が対立する人達や、めんどくさがる人達を調整して、協力してもらう力が必要となります。
この辺が店長時代と大きく違う点です。店長は従業員、お客様、上司との関係性で仕事が成り立ちます。調整や根回しのようなことはあまりうまくなくても店舗運営はできます。
エリアマネージャーになると自社内の利害関係が少し違う人を巻き込んで、動いてもらわなければならないのです。そうしなければエリアの業績向上や店舗の問題解消はできません。
トラブルシューティング力
簡単に言うと問題解決力です。
広い意味では、一つ一つの問題に狙いを定め、効率的に解決していくことです。店長時代も店舗で様々な問題が発生するので、トラブルシューティング力は備わっていると思います。ただ、エリアマネージャーが対応しなければならない問題はお店で収まり切らなかった案件が多いため、難解なことが多いです。
特に多いのが、クレーム、人事問題です。店長では許してもらえなかった案件ですから、エリアマネージャーが直接介入し対応しなければなりません。さらに、店長や社員が起こした人事的な問題も直接介入し解決します。会社の代表として対応するのでしっかりと上司、他部署と連携して、協力体制を整えてトラブル対応に挑みましょう。
覚悟をもって対応しましょう。
あなたが会社の代表です!
コミュニケーション力
どんな仕事でも必要なスキルですね。コミュニケーションには大きく分けて、伝達力と傾聴力の二つがありますが、どちらも高いレベルで必要です。
調整力の項目でも触れましたが、エリアマネージャーは担当店舗の店長や従業員、上司、本部の他部署の人達とコミュニケーションをとらなければなりません。なので、相手が分かりやすいように、しっかりと意思が伝わる言い方、文章が必要です。
店長やパートアルバイトを含めた従業員から相談を受ける事もあるので、
「何に悩んでいるのか」
「どういった問題を抱えているのか」
「今後どうしていきたいのか」
これらをしっかりと理解し解決策を考えます。
また、エリアマネージャーは本部と店舗の橋渡し的な役割です。本部と現場の間にいるので、伝達係、翻訳係としてコミュニケーション力が必要となります。
本部から出る指示の意図を明確に伝え、内容を誤解している店長がいれば分かりやすく説明してあげます。
現場が反発するような本部からの指示も伝えなければなりません。
そんな時はその指示の目的、本部が考えていることなどを話すことも大事です。
現場の意見や困っていることは上司に伝える必要があります。客観的に見て店舗が正しいという意見は確実に上司や関係部署には報告、提案しなければなりません。
上司、他部署を動かす伝え方を日々考える必要があると思います。
まとめ
長くなりましたが、エリアマネージャーの仕事と必要なスキルについてまとめました。
いわゆる中間管理職なので、上司と部下に挟まれてしまうこともあるでしょう。そんな時は原点に返り、自分の役割は何かを思い起こしてください。
部下に嫌われたくないからと店長と一緒に会社批判したり、会社の決まりを無視する店長を放置してはいけません。
今エリアマネージャーを目指している人も、現役のエリアマネージャーの人にもこれを読んで参考になれば幸いです。
次回は売上対策など少し具体的な業務内容を書いていきます。